成安造形大学 | デザイン講義及び大学情報誌掲載のお知らせ

2021年、成安造形大学で、グラフィックデザインコース、情報デザインコース、イラストレーションクラスの3回生の学生に向けてデザイン講義を行い、2022年度大学情報誌に掲載されました。

 

株式会社FICCでのキャリアで培った、ブランド・マーケティングのケーススタディを基に、ブランドパーパスを軸とした「デザインとビジネス」という題でお話をしました。

近頃のビジネス界隈では、様々な新興企業によるサービスが台頭してきており、成熟しきった社会や組織内において、今一度、組織のあり方や自社ブランドの提供価値を見つめ直す企業が多いように感じます。また、実際にそのようなお仕事のご依頼を多くいただいています。

そのような現在のビジネスの現場のリアルなお話ができればいいなと思い、実際にビジネス社会でデザイナーとして働くことはどういうものなのか、世の中からどういった価値を求められるのか、なぜ我々は大学に行ってデザインを学んでいるのか?など、学生たちが自分ごと化しながら理解できるようにまとめてみました。

 

「ビジネスとは、人の営みをより善くしていくための、価値を効率よく広げていくための仕組み」というのが、私の基本的な経済社会に対する考えです。

 

ビジネスの核となる社会の需要や欲求がどこから生まれてくるのか、それがビジネス上でどんなふうに繋がっているのか。デザインする上ではその繋がりを理解することがとても大切です。

世の中の流れや構造を理解しないままに、自分達のやりたいことをやるのは運任せの一発芸と同じになってしまいます。(アーティストならそれでも良いかもしれませんが、実際実力のあるアーティストは誰よりも戦略的だったりするので結局世の中をよく知っていないと持続性のない活動になります。)

なのでデザイナーであれば、まずは世の中を知ることを一番大事にして欲しい。「より良い情報」を持つことで、その情報を基に効率の良い勉強ができたり、先進的なチャレンジができたり、自分の求める仕事を手に入れたりできるので、情報が何よりも大事だと思う。

そしてより良い情報を手に入れる最も大事な方法は、インターネットで調べれば誰でも手に入れられる情報とか、流行りの横文字や高尚そうな概念とかではなくて、ただ「人の話を聞くこと」。

自分の家族や友人、バイト先の人達や街ゆく人達、仕事で言えばお客さんはどういうビジネスをしていて、何に困っているのかとか、そんなリアルの話を聞いたり関わったりすることで得られる情報こそが真に価値がある。少なくとも事実なので。

そして自分が何がしたくて、どういうことなら手を貸してあげられるかとか、そんなことを考えながら色々な人と関わって手に入れる「現実の情報=経験」と、それを「積み重ねていくこと」を大事にして欲しい。

今の世の中、技術は調べたら割と簡単に手に入れられるので、価値が出てくるのは自分だけの経験。

 

あと、誰もが人と比べることで自信を勝手に無くしたり、ちょっと失敗しただけで傷ついて、自分のやりたいことを諦めてしまう悪癖があると思うので(少なくとも私はそう)、この世は生まれた瞬間から始まる運と偶然によるものなので、他人と比べることに意味はなく、規模が大きい小さいに関わらず、自分の経験=価値だけを大事に育てることが大事だと思う。

学生の頃は何も情報がなく、不安だらけで、何をしてもうまくいかず、先も見通せない状況だと思うけど、周りの状況が見えてくれば、案外ものすごく単純なことだけやってれば良かったりする。

成功できるかもしれない方向が360度ある中で、最初から成功する道を選択することは不可能なので、いっぱい失敗して、少しずつ360度を180度に、180度を90度に、90度を45度に、そうして成功する角度・確率を見極めながら進める能力がついてきたら、立派なデザイナーになっていると思う。

 

聴衆の学生さん達は、3回生なのでちょうど就職に向けた準備をしている大事な時期、皆、若いエネルギーと希望をもった目をしていて、とても眩しく感じたのが印象的だった。

私も大したデザイナーではないけど、この講義を聞いてくれた学生さん達が、より良い進路を切り開いていってくれて、新しいデザインの価値を見つけてくれたら嬉しい。私もそれを見たい。